心臓大血管救急におけるICTを用いた革新的医療情報連携方法の普及と広域救命救急医療体制確立に資する研究

研究成果

Medical dissertation

リアルワールドデータを活用した大動脈瘤破裂例の
術後予後調査

論文著者:順天堂大学臨床薬理学大学院 木村友紀 先生

論文の概要

順天堂大学臨床薬理学 佐瀬一洋研究室の木村友紀氏らは、厚生労働科学研究「心臓大血管救急におけるICTを用いた革新的医療情報連携方法の普及と広域救命救急医療体制確立に資する研究」の取り組みの一つとして、医療費請求を基盤としたJMDCデータを用いて破裂性腹部大動脈瘤症例の術後の予後調査を行いました。

術後に発生した治療を網羅的に把握できるという医療費請求データベースの長所を生かして、大動脈瘤関連の再治療あるいは死亡がどの程度、どのような時期に発生するのかを導き出すことに日本ではじめて成功し、イギリスの医学雑誌であるBMJ Surgery, Interventions, & Health Technologiesに掲載されました。

結果として、破裂性腹部大動脈瘤に対して、ステントグラフト内挿術による救命例と開腹手術による救命例とでは、5年の生存率に差がないことがわかりました。この結果は、破裂性腹部大動脈瘤へのステントグラフト使用が救命率において開腹手術と同等であるとする海外の研究データやガイドラインをリアルワールドデータが支持したことにもなります。

一方で、ステントグラフト内挿術後は開腹術後に比べて有意に再治療を多く要することから、術後のfollow upの重要性を改めて示唆したものであります。

この木村氏らの研究は、リアルワールドデータを活用した好事例であり、多様な背景を有する患者さんが実臨床でどのような経過をたどるのかをリアルワールドエビデンスとして蓄積することの有用性を示していると言えます。

DOI: http://dx.doi.org/10.1136/bmjsit-2022-000131